舌下免疫療法とは
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を微量ずつ、長期間にわたり投与することで、アレルギー反応を起こしにくくするというアレルギー免疫療法の一つです。
1日1回、舌の下にアレルギーの原因物質のエキスを含み、口腔内の血管から体内に吸収させる(舌下投与)ことで、アレルギー反応を起こしにくい体質を作り出します。
現在、日本ではスギ花粉症とダニアレルギーに対し、この治療を受けることができます。
治療効果
舌下免疫療法はアレルゲンに対する免疫反応そのものを改善するため、根治療法となる可能性があります。
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くしゃみ・鼻水・鼻づまりの改善
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目のかゆみ・涙目の改善
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アレルギー治療薬の減量、治療期間の短縮
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生活の質(QOL)の改善
全体の約80%の方に体質の改善が期待できる治療ですが、長期間の治療継続が必要です (効果がない方も一定程度存在します)。
舌下免疫療法の対象
- 6~65歳で、スギ花粉、またはダニアレルギーが原因となるアレルギー性鼻炎の方
- 一般的な投薬治療で、十分な効果が得られない方
- 運転業務に従事している等で、抗アレルギー薬の副作用で眠気が出ると困るという方
- 将来的に妊娠を希望されている方(妊娠中には開始できません)
- 鼻炎の薬を減らしたい方
注意点
- 長期間(3~5年)、毎日治療を継続する必要があります。3年未満で中止した場合、効果の持続はあまり期待できません。
- スギ花粉症の場合は、スギ花粉飛散期には治療が開始できません。
花粉飛散期をはずした6月から11月末までの間に治療を開始します。 - ダニアレルギーの場合は、1年中、いつでも治療開始が可能ですが、梅雨や秋口などに症状が悪化することが多く、症状がきつい時期の治療開始は避けた方が安全です。
- 腹部症状(嘔吐、腹痛、下痢など)
- 口腔内・口唇のかゆみ・浮腫、感覚の異常
- じん麻疹
- 喘息発作
- その他(耳のかゆみ、のどの炎症や違和感、
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、咳、喘息など)
- ショック
- アナフィラキシー
治療の流れ
来院される前に、当ホームページや以下のリンクなどで舌下免疫療法について、ある程度理解しておいていただくことをお勧めします。
患者さまが治療内容を理解し、納得いただいた上で治療を開始させていただきます。
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治療開始に至るまで(初回受診日)
- 問診
- 鼻内所見の確認
- 合併症や内服薬の確認(おくすり手帳を必ずご持参ください)
- 血液検査(アレルギー検査)スギやダニ、その他のアレルギー反応の判定
(3~5年以内に血液検査を受けたことがある方は、その結果がわかるものがあれば検査を省略できます)
➡1週間後に来院していただき、アレルギー検査の結果を確認後、治療開始日を決定します。
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治療開始日(初回投与)
医師・薬剤師からの説明と投与後の経過観察がありますので、診察終了時間の90分前までには来院ください。
①「スギ花粉減感作療法薬」、または「ダニアレルギー症花粉減感作療法薬」の処方
② 院内で、実際に舌下に投薬します。
③ 投薬後30分は院内で安静に過ごしていただきます。
④ 30分経過後に再度診察いたします。
⑤ 副作用がないことを確認し、今後の治療方法を説明いたします。
⑥ 説明内容をご理解・了承していただき、診察終了となります。 -
再来院日
初回服用後から1週間後に再来院していただきます。
治療継続可能であれば、治療薬の容量を増やし、投与を継続します。
➡以降は月1~2回の受診が必要となります。
舌下免疫療法の薬の飲み方
1日1回(起床時を推奨)、舌の下に免疫治療薬の舌下錠を置きます。舌の下に1分程度含んでおき、その後に飲み込みます。服用後5分間はうがい・飲食を避け、服用の前後2時間程度は激しい運動・入浴といった血圧や血流の変動を伴うような行動は避ける必要があります。
▶スギ花粉減感作療法薬:シダキュア
治療開始から1週間は2000JAU錠を服用し、2週目以降は5000JAU錠を服用します。
▶ダニアレルギー症花粉減感作療法薬:ミティキュア
治療開始から1週間は3300JAU錠を服用し、2週目以降は10000JAU錠を服用します。
治療薬 | 実質自己負担額 ※医療費3割負担の場合 |
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シダキュア(スギ花粉症) | 月額 約2,000円 ※薬代+診察代(処置料込) |
ミティキュア(ダニアレルギー) | 月額 約2,500円 ※薬代+診察代(処置料込) |
舌下免疫療法は一般的に3~5年間、治療を継続することが推奨されています。
数年間の治療を行い、アレルギー症状が改善した場合、一旦治療を終了することになりますが、治療を終了することで、効果が減弱し、 将来的にまた症状が再燃することがあります。治療の中断・終了は自分で判断せず、スタッフにご相談ください。